成長期のスポーツ障害を考える1<概論:選手のおかれている状況>

いつもブログを読んでいただきありがとうございます。院長の柳です。

 

成長期のスポーツ障害についていくつかのテーマを作り書いて行きます。

 

雨青舎ではクライミング・野球・サッカー・水泳といった多様な種目の学生選手の施術をし、そしてパフォーマンスアップのためにともに考えながらトレーニングを行っています。その中にはワールドカップ選手、国体代表、オリンピック候補、県選抜といったレベルの選手たちもいます。

 

その中で思う事を少し。

 

成長期のスポーツの多くは学校の部活です。一部の選手はクラブチームでしょう。多くの選手はこのような環境で日々汗を流していると思います。そしてその中の何割かは必ず怪我に見舞われます。

 

その時に必ず施術者から見て共通していることがあります。それは『ミスユース』『オーバーユース』です。ミスユースとは一般的に『身体の使い方の間違い』をいい、オーバーユースは『身体の特定部位の使い過ぎ』をいいます。野球肘やテニス肘といった障害はこれらによって引き起こされる代表格といえます。

 

この2つは一蓮托生、多くの場合同時に見受けられます。ではこの『身体の使い過ぎと使い方の間違い』の生まれる原因とはなんでしょうか?そこで仮のケースを考えてみましょう。

 

Aくんは野球をしている。小学校から中学校に上がり体格差のある(成長期ですから1〜2年の差は大きい)中で部活動を行う。しかし一年、二年、三年の学年の違いによって練習が違うわけでなく身体の完成度に関係なく同じ練習をする。一年生と三年生ではかなりフィジカル的に差がある中でどうにかついて行こうと無理をする。(これがオーバーワークの要素と言えます。)投げるにしても打つにしてもいつも全力。当然完成されてない身体にとっては大きなストレスだ。ある日、肘が痛いと感じた。しかし周りは誰も休んでいない。Aくんは我慢して練習を続けた。二ヶ月後、日常でも肘の痛みに悩まされるようになった。そして治療へ。。

 

よくあるパターンです。ここでの問題点をあげていくと

1、体格・時期に関係なく同じことをしている

2、全力でやるにしても正しい動作でできているか知識を持った人が判断してない

3、自分の状態を判断できず放置している

そして何より

4、環境がAくんを追い込む形になっている

 

これら4つを論点として考えると出来ること出来ないこと・問題点が浮き彫りになってきます。1つずつ考えていきましょう。

 

1、体格・時期に関係なく同じことをしている

これについては少し話題になりました。ラグビーW杯日本代表監督エディー・ジョーンズがラグビーのフォワード(デカくて重くて強い!)とバックス(速くてしなやかでキレが良い!)で役割が違うのになぜ日本は同じ練習をさせようとするのか?と疑問を呈してました。特に成長期の学生時代では習得できる能力が神経学的に違います。身体の成熟度で習得する能力の優先順位をつけることで伸びしろが変わるのです。しかし実際に団体競技で練習の仕方を変えたり、個別で判断することは学校内ではほぼ不可能と考えてよいでしょう。チームに知識を習得してもらわなければならないからです。よって改善は難しい、あるいはゆっくりとした改善しか望めません。

 

2、全力でやるにしても正しい動作でできているか知識を持った人が判断してない

これも専門的知識が必要となります。動きを分析し、その選手の特性を判断する必要があります。これも学校内ではほぼ不可能でしょう。

 

3、自分の状態を判断できず放置している

当然です。判断できません。痛みや不調は本人にしかわからず、その尺度は経験していかないと程度を図ることはできません。まだ若く経験のない子供達故に陥るポイントです。

 

4、環境がAくんを追い込む形になっている

これが一番問題でしょう。確かに頑張らなければいけない時期、ポイントはあります。そこはスポーツ競技において避けられません。が、その中でもきちんと天秤に掛けて判断しなければなりません。なぜなら選手はまだ成長期で未来があり、何より彼らはプロではありません。それで報酬を得るわけでも生活をしている訳ではないからです。確かに未来・将来のかかった大一番はありますし、当院がサポートしている選手にもまさに真っ只中の選手もいます。だからこそ怪我なくよいコンディションで勝負の時に最もよいコンディションに持っていくことが必要なんです。(ピーキングといいます)

 

これらの状況を考えると選手は過酷な中で競技をしていると考えるべきです。その上で我々が現状、介入できるポイントは2と3です。

 

もし少しでも痛み違和感が続くならいちはやく受診し、(3の部分)

怪我の治療とともに動作の分析・改善プロセスを行う(2の部分)

 

これが鉄則です。これにより怪我の早期回復が可能であり同時にパフォーマンスの改善と同時に怪我の前よりポテンシャルを強化しての復帰が見込めます。つまり怪我の時期を結果的にプラスに変えられるからです。気合いと根性は大切です。(僕もこの世代です笑)が、最も大切なのは選手の未来です。それは知識と戦略的思考による環境作りでしか開けないと僕は考えています。環境が変化するには時間がかかります。それまでは自分の身体を第一に大切に育てて行くことが最重要です。

 

次回はもう少し具体的な部分について書いて行きます。IMG_9418

 

 

 

 

 

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